ぜんぶ

ぜんせいぶつの文章

長久允の久しぶり?の長編『炎上』を観に行ったよ(窓辺リカの曲を聴きに)

テアトル新宿でみたらさ、なんかネディガの何かも上映してるんだね。先行上映的なやつ?

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この映画もさ、なんか薬とかを沢山飲んでたよ。そういうのが流行ってるのかな。いや薬沢山飲むことが流行ったからそういうものを描く作品があるだけだね。

びっくりしたのがさ、若い女性というか、それこそこの映画に出てくるような女性がさ、結構見に来てたよ。マジで~とか思いながら、そういう女性へ謝りながら中央の座席へ向かったよね。ほんとなんか申し訳ないなって思ったよ。なんでだろね。

あとこういうのもあったよ。

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こういう画像あると、映画見に行った人の文書感出るかなって思って、写真をとったりをしたりをすることにしました。てかなんだこのアンケートは...。

2019年の『WE ARE LITTLE ZOMBIES』から7年ぶりとかになるのかな、長久允の新作長編映画『炎上』です。てかみんな観てる?『WE ARE LITTLE ZOMBIES』、中島セナ出てるやつだよ。私はこの映画とても良く覚えています。見てる途中すごいトイレに行きたかったけどめちゃくちゃ我慢してたから。エンドロール終わって監督が登壇したときはもう絶望しましたよ、知らなかったのでほんま失禁しかけましたよ、嘘知ってたよだから上映中も絶望してたよずっと、監督が登壇してんのにそそそそそっとトイレに行ける度胸ないしちゃんと質問とかしましたよ、覚えてるなあ。覚えてます。トイレ行けばよかっただろアホ。

真面目に言うと『WE ARE略』という映画は、何か色々あって死にたいぜみたいな子供達の冒険譚なんだけど、その子達のなかで唯一まともに掘り下げられなかった女の子を、掘り下げないからできるミステリアス(で色っぽい)なキャラの立て方をして、そいつが男の子たちのメンタルケア役に回されていて、いかがなものか...とか思いましたよ。ね。ちゃんと覚えてるよーん。

んで『炎上』ですわ。森七菜主演ですわ。なんか良さそうじゃん?それだけでさ、なんか活躍してるしさ、『天気の子』のヒロインとかやってたし、『国宝』とかにも出てたわね。何より主題歌が窓辺リカって、いいじゃんかそれ、窓辺リカっていいよねえ。私も以前言及したことがありますよ。

長久允という作家について何かしら言っておくとさ、この人はCMディレクターでもあり、その上で生々しくて汚い(もしくは暗い)人間性に関心がある作家でもあるんだけど、要するにこういうことです↓

中島哲也+園子温

噛み砕くとこう↓

コマーシャルみたいなきれーいな映像が得意な作家性+生とか死とかうるさいけど、うるさいから説得力ある作家性

映画とか多少詳しい人なら、中島哲也と園子温が融合してたらなんか凄そうとか一瞬思えるけど、別にそれが達成できてるわけでもないので、なんか惜しいすな・・・みたいに私としては思ってていたりする。足したところでなんやねんという話はもちろんあるが、もはや中島哲也は最近の作品が生とか死とかうるさい感じになってるので、つまり中島哲也ですね。長久允という作家はそこに行きたい人なのかなって、とりあえずは私にはそう見える作家でして。

前作の『WE ARE略』も今作『炎上』も、生まれや環境などで自分の人生オワタ感に苛んでいる若者を描いている。そんでもって今作の舞台はトー横。そこにたむろする若者たちの物語は、正直他ジャンルの状況を思えばかなり今更感のある題材でしかないが、『WE ARE略』から地続きにあるテーマなので、まあ確かにそうなるか、という部分もある。ちなみに『炎上』というタイトルは、SNS的なものとはほとんど関係ない。映画冒頭、主人公のモノローグで、私が歌舞伎町をめっちゃ放火しちゃったぜ(^^)vぶい、って感じで明かされるところから別にズレたりしない。物理的にメラメラ、アチアチ、その「炎上」。

主人公の少女(樹理恵)は親からのきついDVがホントムリになってしまって、一緒に耐えてきた妹を置き去りにして駆け込みトー横。そこで青春したり売春したりしてひとまずは楽しくやっていくが・・・、というあらすじ。あ、ありがち・・・なのはまあいいとして、実際に歌舞伎町でロケが行われているシーンも多くて、こういうのは実写ならではの強みなので、頑張っている感がある。多くの人がイメージするトー横(シネマシティ広場)の劇中の雰囲気は、おそらく全盛期(?)の盛り上がりが過ぎた後の、細々とやってる奴らって感じ。今あの広場は普段は封鎖されていて、トー横に集まりたい人たちは、新宿東宝ビルの1階のセブンイレブンの前あたりでさらに細々と続けてるよね。ってか本来トー横は逆の通り(もうやんカレーとかあるとこ)なんだけど、別にどうだっていいよねそんなこと。生垣のフチに座れないようにするための鳩よけみたいなトゲトゲの上から人は平気で座るから、トゲトゲがぺちゃんこになってたけれど、あのトゲトゲはもう撤去されてんだよね、人が集まらないから、とか、どうでもいいよね。私自身トー横事情についてなんも知らないし。

映画の話に戻るけど、本作の見どころはそういう歌舞伎町だなあって思えるシーンが多いことくらいだった。最終的にはいい人っぽかった大人がドラッグとか使って若者を搾取する構造が浮かび上がってきて、みたいな、知ってるなあ・・・みたいな話になっていく。主人公は身体を売ったお金で1000万円貯めたのだけれど、それも大人が・・・というわけではなかった部分はちょっと捻りが効いているともいえるが、つまりそれって何が言いたいの?みたいなことになっていた。もっと幼いガキどもに大金奪われてたよ。そして貯めた1000万円を失って歌舞伎町を放火すると。なぜ・・・、とも思うがまあ、歌舞伎町が燃えるのは面白いからいいか、と思ったのだけれど、この歌舞伎町が燃えるシーンがかなりよくない。

この映画では度々、ある瞬間を3Dでスキャンし、カメラがその中をグルグル自由に動いていく変なシーンが挟まれる。これは視覚的にまあまあ面白い加工もしていて、それなりに見応えがある。このあたり、ちょっと尖った映像表現が試される場であるコマーシャル映像に精通してる監督っぽいとも言える。でもこれ10年前くらいにPerfumeのライブか何かでライゾマティクスがやってたよね。今は3Dスキャンの精度も格段に上がってたり手軽にできるようになってたりするけれど、そんな映像を映画の最大の見せ場に持ってきていた。でもこれちょっとどうかと思う。歌舞伎町が燃える表現を、そういう手法、つまり3Dスキャンをした空間へ3DCGの加工をした映像で描いているのだが、なんか誤魔化された気がしちゃってよくない。歌舞伎町を本当に燃やすことは無理なのは承知だし、誤魔化すのは悪くないが、誤魔化されたと思いたくないじゃんか。あとメラメラがキラキラしてるのも、なんだかなって感じ。

登場人物が多い割に各々の描き方が足りていなかったりでもったいないとか、の割に無駄に長いシーンが多くて退屈するとか、他にもいろいろ思うところはある。主人公とタッグを組んで売春をすることになる三ツ葉という少女が、多目的トイレでハンガーを使って自分で子供を堕すなど踏み込んだシーンがあるにはあるが、描き方があっさりしていて割とお手軽感が出てしまっている気がしちゃう。難しいところだが、直接的な描写はなくても、もっと印象に残るような描き方があったのではと思わずにはいられない。園子温ならもっとエグい映像を喜々として撮っただろうな、とか考えるが、そういう作家だから園子温は今あんな感じなのかもしれないのだけれど、さ。はは。笑い事じゃないか。はは。

それと、親から受けた暴力がそのまま主人公の暴力性へと受け継がれていたことが判明する終盤も、あまり腑に落ちない。この映画的には、親からDV受けた結果ひとを殺してるわけだが、そこを短絡的に繋いでよいものか、とかね。

この映画が描きたかったことはなんなだったのがよく分からなかった。トー横が酷い環境だったのは誰もが知っていることだけれど、この映画で描かれることは、自殺だったり望まない妊娠だったり薬の過剰摂取だったり、トー横に限らずそこらじゅうにある話だ。トー横に一瞬ながらも居場所を見つけ心地よさを感じていた人たちを説得力を持って描けていなかったと思う。オーバードーズ楽しそう〜みたいなことでいいのだろうか。もっと他に、私たちが知らない何かがあったんじゃないだろうか。行政の行いが逆に彼ら彼女らを追い詰めていったとか、(分かりやすくリベラルな視点などが映画としては)ありえそうだけど、そういうのすらなかったよね。知らんけど。

とかいろいろ書きましたが、しかしこの映画が描こうとしている何かを窓辺リカの主題歌がかなり補っていて、窓辺リカを起用したのはとてもいいね、と思っている。

監督はこんなツイートをしている

好きなんだね、窓辺リカ。私も好き。

監督は、今の若者たちがなんか苦しそうで、なんで苦しそうなのかに関心があるみたいだけど、その苦しさに勝手に共感しているんじゃないかって、個人的に思ってしまう。一方的な共感だから、なにか真に迫るものが欠けているように思う。この映画はトー横とかを必要としていた若者たちへ寄り添ったような映画とは思えなかった。私は、まあまあいい歳してんのになーんか今若者とされている奴らの辛さとかになーんか勝手に共感している変なやつなのだが、だから窓辺リカとかを好きだったりする。同年代の悩みより、自分より若い(幼い)悩みとかに親しみを感じちゃうので、変なのだが、長久監督もそうなのかもしれないなと少し感じている。若者文化とか知った気になって分かる〜とか出来る立場にないよな、私は。この映画をみてそう思えて良かったかな。そんなところ。